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「エクスカリバー」演出家さまのインタビュー記事

PLAY DBに掲載されたスティーブン・レインさんのインタビュー記事をご紹介しますね^^

ミュージカル<エクスカリバー>の演出家さんです。
(<マタハリ>も担当されているので、EMK作品ではお馴染み・・・?^^)

演出の意図について語ってくださっています。
ネタバレ的なことも書いてありますがさほど多くはないので、これから観に行かれる方の事前学習に良いかもしれません。もちろん、すでに実際に観劇した、という方にも良い記事だと思います。



元記事はこちら → PLAYDB


[インタビュー] 英国の伝説アーサー王の成長ファンタジーを繊細かつ重厚な舞台に移した演出家スティーブン・レイン

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国内でミュージカルを創作する時、海外の演出家を迎え入れる事例はもはや新しいことではない。しかし6月18日に開幕したミュージカル<エクスカリバー>を初めて観覧した時、新鮮に心に響いた印象は演出と作品がきっちり調和した作品に出会ったという気持ちの良さだった。製作される作品の数と規模に比べて演出家がめっきり不足している国内市場で作品と特別によく合う演出を見つけるのは何とも嬉しい事に違いない。国内観客に馴染みの薄いアーサー王の話を密度の濃い叙事と効果的な舞台で解釈したミュージカル<エクスカリバー>の演出スティーブン・レイン(Stephen Rayne)に会い、作品に対する深い対談を行った。

 
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Q. この作品はスイスのセントガレン劇場で初期開発段階を経た後、演出(=スティーブン・レイン)が合流され、その後追加創作過程が行われたと認識しています。アーサー王の伝説は韓国でもよく知られている話ですが、深く理解している観客は多くはないストーリーでもあります。作品の創作過程において、どのような部分を重点的に考慮しましたか?

トライアウトで開発されたバージョンでは、登場人物の個性が効果的に活かされず、劇全般にドラマ的要素がちょっと不足しているという印象がありました。だらりとした叙事の中で観客がイギリスの歴史的背景と内部分裂または紛争を十分に理解するのは難しいと思ったのです。劇的な展開のためには、歴史的事実を基にしながらも内容と要素を追加して新しい世界観を構築しなければならないと考えました。

そのため創作陣と製作陣に6世紀あたりに実在した背景に戻って考えてみようと提案しました。ローマ人が去り、イギリスが大混乱に陥った時、まともな王がいないすきに乗じてサクソン族が攻め寄せて来て、彼らはイギリスを容易に侵略できると考えたことでしょう。<エクスカリバー>ではこの点にマーリンの魔法と黒魔術のような要素を追加し、歴史的事実を土台に新しい話を創作しました。プロデューサーとたくさん会議をした部分です。ファンタジーをしっかり描き出そうとすれば実世界の観点で見てもある程度納得できるし、誰もが理解できる程度のファンタジーでなければならないと思います。実際、現実で起きそうな事であれば人々は関心を持つようになり、また衝撃をうけることもありうるからです。

したがってこのような部分に対する説明を増やし、話の背景になる葛藤を強烈に表現しようとして、アーサーとサクソン族の戦争により集中しました。アーサーはサクソン族との戦争で勝たなければならず、イギリスの王になって統一を果たさなければならない存在という事実に焦点を合わせようとしたのです。それでこそ観客の方々がイギリスとサクソン族の明らかな差を実感できると思いました。創作陣は新しく多くの曲を追加し内容的な面でも少年だったアーサーが大人として、王として生まれかわる流れに方向を合わせて一緒に作品修正を進行しました。

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Q. <エクスカリバー>は明らかな事件の起承転結よりはアーサーとランスロット、グィネビア、そしてモルガナとマーリン等、主要キャラクターが叙事の中心に置かれる話という気がしました。各キャラクターを中心に叙事の骨格を形作る作業は容易ではなかったと思われます。

トライアウト公演では、導入部でアーサーがエクスカリバーを抜きました。ですが、キャラクターの関係性と作品の背景について観客が十分に理解するためには、剣を抜くということについて付与される意味と今後展開される話において戦わなければならない敵が誰なのかを先に明確に指し示すことが重要であると考え、その部分の叙事を追加しました。

また初期開発バージョンではアーサーとグィネビア、ランスロットの三角関係に叙事が集中していましたが、モルガナとマーリンの関係が明らかでなかった点が残念でした。ランスロットとアーサーにももっと確かなキャラクターを付与したかったし、グィネビアの複合的な感情、マーリンとモルガナの話の分量を増やして各キャラクターを叙事の中心に移そうと努力しました。この作品の登場人物は多様な世代を混在させています。アーサーとグィネビアは劇中18歳で最も幼いです。ランスロットは彼らより10歳くらい年上に設定されていて、モルガナはそれよりもう少し年上です。そして彼らの上の世代にアクターとマーリンがいます。多様な世代とキャラクターが交差して叙事が積もり密度が濃くなったと考えます。

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Q. 「アーサー王の伝説」に対する話は内容も多用ですし、解析に多くのバージョンが存在すると知られています。ミュージカル<エクスカリバー>ならではの変更または追加した部分はありましたか?

その通りです。多くの方々がアーサー王とエクスカリバー、円卓の騎士をご存じながらも、神話の詳しい内容はよくご存じないでしょう。実際、伝説ではマーリンが生まれたばかりのアーサーを貴族に預ける設定ですが、私はそうではなく平凡な家庭で育てられた平凡な少年が王の運命を歩くようになる旅程がより劇的であると考えました。またグィネビアをアーサーと愛に陥る美しい王女として描いている作品とは異なり、<エクスカリバー>ではグィネビアにもう少し強くて独立的な性格を付与しようとしました。このようなキャラクターが今の時代を反映する興味深いポイントと考えたのです。

一方で、ランスロットはいつも少々浮気っ気のある騎士というキャラクターで描写されますが、我々の作品ではこれをさらに極大化しました。優れた技量にもかかわらず生きる上ではっきりとした目標もなく酒と女に陥って生きる人物がアーサーと共にサクソン族と立ち向かい、はじめて人生の目標を見つけるようになります。ですが自分の目的と理由を悟るきっかけ、誰かを守らなければならないという感情を感じたきっかけが、兄弟のような友の妻であるグィネビアと愛に陥ったおかげという事実がアイロニーです。最後にアーサーの命を救い、彼の英雄的な面貌を見せてくれますが、結局悲劇的な結末を迎えるようになります。またウルフスタンは新しく創造された人物です。イギリスを無慈悲に侵略する、アーサーが立ち向かうのが困難なくらい強力な人物を象徴的に表現しようと強い語感で「ウルフスタン」という名前を付けてキャラクターを作り出しました。そしてサクソン族の規模を巨大に表現するためにアンサンブル俳優を大挙起用し舞台を圧倒する場面を演出しました。

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Q. アーサーを説明するにあたり竜の登場が印象的ですが、竜は作品でどのような意味で使われていますか?

ペンドラゴンという名前から竜(ドラゴン)の手がかりが登場します。イギリスで竜は暴力、怒り、嫉妬など、主に否定的な感情を象徴します。父であるウーサー・ペンドラゴンが貪欲で怒りを収める部分に問題があった人物だっただけに、アーサーもこのような性格を受け継いだのです。アーサーが大人として、王として成長して乗り越えなければならなかったのがまさに彼の心の中にあいるドラゴン、すなわちウーサーから受け継いだ否定的な部分です。モルガナはアーサーの中にあるこの悪い気を利用するために彼を刺激し誘惑します。結局アーサーは自分が最も信じ、頼り、愛した人々を送り出す過程で心の中の竜を治める方法を悟るようになり王として成長します。かなり悲劇的で心の痛い結末ですが、エクスカリバーという剣を手に握る人生の重さがそのくらいでなければらなければならないと考えました。

Q. 馴染みが無く多少複雑な叙事かもしれませんが、主要人物にそれぞれ明らかな背景と事情が付与されていてお互いに有機的に繋がっており退屈に感じる暇がありませんでした。各キャラクターを理解できるソロ曲が多いのも印象的でした。

そのように感じられたとは幸いです。2幕でグィネビア、アーサー、グィネビア、アーサーの順でバラードが続く部分がありますが、ともすれば観客が退屈に思うかもしれないという気がしました。それでその合間にサクソン族が軍隊を導いて登場する場面を挿入したのです。それ自体にも観客が新鮮に受け入れることができると考えましたし、この場面が周囲を換気させながらも以後の場面で観客がバラードナンバーにさらに集中できるようにする装置とも判断しました。なにぶん映像媒体に慣れた観客は画面編集のように早く展開される方式を好むからですが、それでサクソン族の強靭な場面を中間に配置することで雰囲気を転換して叙事を続けて行きました。

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Q. 伝達しなければならない話が多かっただけに、舞台を具現するにあたっても悩みが多かったと思います。韓国スタッフとの作業は二回目でしたが、どのような経験でしたか?

世宗文化会館大劇場のような大きい舞台を満たす作業は決して容易でありません。 2017年<マタハリ>を演出した時の経験を<エクスカリバー>に活用できて幸いでした。

観客が遠い距離から観覧するようになれば親しみを築いて疎通するのは困難です。そのため舞台装置、照明、映像などを効果的に動員し、すべての瞬間を視覚的にさらにしっかりと表現しなければなりませんでした。見どころをたくさん作り出そうとしたのです。ただし、舞台転換ごとに30-40秒の時間が必要となりますが、その度に暗転になって観客が待たなければならないのはなるべく避けようと思いました。その間に観客の感情が崩れるたり叙事を逃すことが有り得るからです。このような部分についてチョン・スンホ舞台デザイナーとたくさん悩みました。空間を最大限活用しようと努力しましたが、オーケストラピットと客席の間に動線を追加して作ったのもこのような意図の中の一つでした。世宗文化会館の舞台を考慮し、エクスカリバーが刺さっている岩山もさらに大きくなるのを願って、全体的に雄大な舞台を作ろうとと思いました。映像と照明が加わって場面ごとに新しい魅力を具現できたと思います。背景が韓国文化と距離があるので、チョ・ムンス衣装デザイナーには参考用写真を100枚以上送って差し上げて一緒に悩みました。各デザイナーの努力が一ケ所に調和する意味ある協業でした。

Q. 作品を見てかなり纎細で密度が高い演出という気がしたのはそのような理由のためだったようです。演出をする時、最も重要に考慮する点はどのような部分ですか?

私は観客の立場を考慮して演出をしようと努力する方です。観客の立場で特定場面がとても長く感じられないか、興味が落ちないかなどを考慮して多くの方案の中で最も良い選択を下そうとします。観客と演出家、二つの観点でリハーサルを進行し多くの部分を解決して行こうとしますが、長い経験が本能的に解けて交ざる過程の中で結果が誕生するのだと考えます。

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Q. 一つの配役を多くの俳優が演じる形態に馴染まなかったのではと思われますが、いかがでしたか?

数人の俳優の日程を調整するのは容易ではありませんでした。もちろん、意思疎通も難しさの中の一つでした。ですが韓国の俳優に対して印象深かったことの中の一つは俳優同士が非常に協調的という点です。三人のアーサー、三人のランスロットが会議をしてキャラクターを完成して行き、お互いに助けを与え合う姿に驚きました。他の国だったらお互いに競争するのに忙しいであろうに、です。そのため何人かの俳優とともに作業する過程が楽しかったです。また同じ配役を消化する俳優の多様な組み合わせがそれぞれ違うケミストリーを作り出すという点も興味深い部分です。

Q. 最後の質問ですが、<エクスカリバー>または韓国の観客にしたい話がありますか?

韓国のミュージカル観客は若い女性層が大多数を占めていると理解しています。私はミュージカル市場がさらに発展するためには今より年齢層、すなわち、観客の幅が拡がらなければならないと考えます。すべての人々が見たがる公演がさらに多くならなければね。このような市場の特性を理解して、今作品でキャラクターと叙事を伝達するのに根を詰めました。<エクスカリバー>が韓国の多くの観客に、さらにさらに大きい市場で愛されるように願います。




トライアウトの話が出ていますが・・・
演出家さんが言われているトライアウトとは、韓国で上演するにあたっての「試演」のことだと思います。韓国では一般にワークショップと言われていると思うのですが、制作会社内部で行う試演ですね。

この記事に掲載されている話ではありませんが、<エクスカリバー>は2016年に最初のワークショップがあったそうです。数日の差で<笑う男>のワークショップもあり、予定では<エクスカリバー>の方が先に本公演を迎えるはずだったらしいのですが、<エクスカリバー>のワークショップの結果が思わしくなく、全面修正を行うことになった結果、<笑う男>の方が先に本公演を迎えることになったそうですよ^^

この話のネタ元は잇뮤지컬というポッドキャストです。
(雑誌「シアタープラス」の編集者さんたちが発行しているポッドキャスト。だから内容は信頼できると思う^^)

このポッドキャストによると、2016年の最初のワークショップに参加した俳優さんはアーサー役キム・スヨンさん、ランスロット役チェ・ジェリムさんだったらしい!^^


キム・スヨンさん~~~❤
韓国の観客層が若過ぎるので外れちゃったのかしら・・・(泣)
ジェリムさんについては何も言いません。多くを敵に回しそうなので・・・コラコラ^^;



2回目のワークショップにはアーサー役カイくん、モルガナ役チャン・ウナさんが参加していて、この二人は本公演にも参加してますね^^

잇뮤지컬 は以下で視聴できます。(初回の放送で語っています。)
→ オーディオクリップ
→ パッパン




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